むちうちにおける慰謝料の計算方法
1 むちうちの慰謝料の計算方法
むちうちの場合の慰謝料の算定方法は大きくいうと2つあります。
自賠責保険の基準と、裁判基準(弁護士基準)と言われる基準です。
他にも任意保険会社の基準である任意保険基準もあります。
ただし、任意保険基準は、基準が不透明であるのと自賠責保険と大差ない場合も多いので、ここでは自賠責保険の基準と、裁判基準(弁護士基準)についてご説明します。
2 自賠責保険の基準
自賠責保険の算定方式は、次のとおりです。
①1日4300円×通院実日数×2
または
②1日4300円×通院期間
①と②は、通院実日数×2と通院期間とを比べ、少ない方を採用します。
通院期間3か月(90日)でこのうちの通院実日数が40日の場合、90日と40日×2=80日では後者のほうが少ないので、①の計算式によります。
従って、4300円×40日×2=34万4000円が慰謝料ということになります。
通院期間が3か月であれば、3か月の日数である90日のうち、半分の日数(45日)までは通院日が増えれば慰謝料も増えていくのですが、半分45日を超えると、それ以上は通院日が増えても慰謝料は変わらないということになります。
しかしながら、この自賠責保険の基準は最低限の基準ですので、次に述べる裁判基準に比べると低額になる場合がほとんどです。
また、自賠責保険の傷害部分は120万円という上限があり、治療費等の慰謝料以外の項目で多くの費用がかかっている場合、慰謝料はすべてが支払われない場合もあります。
3 裁判基準
裁判になった場合に用いられる基準で、いわゆる赤い本(正式名称「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という公益財団日弁連交通事故相談センター東京支部発行の書籍)に掲載された基準を用いることが多いです。
通院3か月の場合は、53万円が目安となっています。
なお、赤い本の算定基準は、いずれも週2日程度通院している場合が念頭に置かれていますので、通院日数が少ないと、上記の金額よりも少なくなる可能性があります。
このように、裁判基準のほうが金額は基本的には多くなります。